#012
透視図法の秘密
2次元の平面に3次元の奥行きを再現する「線遠近法(透視図法)」は、15世紀初頭のイタリア・ルネサンス期(主にフィレンツェ)で体系化された画期的な技術です。それ以前の絵画でも、重なりや上下配置、色の弱化などによって奥行きを示す工夫はありましたが、人物や建築の大きさが重要度に応じて変えられる(いわゆる階層的表現)など、空間を一貫した規則で“計算”する方法はまだ一般的ではありませんでした。線遠近法は、見る者の視点を定め、奥行き方向に伸びる線(オルソゴナル)を消失点へ収束させることで、空間を幾何学的に整合させるという発想を導入します(※一点透視だけでなく、二点・三点透視などもあります)。 この発見の起点としてよく知られるのが、建築家 フィリッポ・ブルネレスキの実演です。彼はフィレンツェのサン・ジョヴァンニ洗礼堂を描いた板絵を用い、鏡を使って描画と実景が一致して見えることを示したと伝えられています。続いて レオン・バッティスタ・アルベルティが著書『絵画論(De pictura)』(1435年)で、この原理を画家が利用できる幾何学的手順として整理し、理論として普及させました。 透視図法の導入により、絵画は「平面上の図像」から、あたかも現実の空間がそこに開いているかのように見せる“窓”へと変貌します。この合理的な空間把握は、以後の西洋美術において長く共有される基本的な視覚ルールとなり、建築表現から物語画にいたるまで、多様な表現の土台を形作っていきました。


この知識を活かして、作品をレベルアップしましょう!
写真をアップするだけで、約30秒で構図・明暗・色の改善点が具体的に届きます。