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アクリル絵具の登場
アクリル絵具は、20世紀半ばに登場した比較的新しい画材で、1940年代後半〜1950年代にかけてアメリカで本格的に普及していきました。初期には、溶剤(シンナー等)で溶かして使う樹脂系の絵具が開発され、代表例として**レナード・ボクール(Bocour)社の「Magna(マグナ)」**が知られています(これは一般に“油性”というより、鉱物油ではなく合成樹脂を溶剤に溶かしたタイプで、後の水性アクリルとは性格が異なります)。 その後、1950年代後半に水で希釈できるアクリル(アクリルエマルション絵具)が登場し、Liquitex(リキテックス)のような製品が広く使われるようになりました。アクリルは、乾燥後に絵具の膜が強く安定するため耐久性が高く、一方で制作中は水で扱える手軽さがあり、油絵具と水彩の“いいとこ取り”の画材として受け入れられていきます。最大の特徴の一つは乾燥が非常に速いことで、重ね塗りや修正がしやすく、短時間で制作を進められる点が現代的な制作環境に合いました。 また、アクリルは不透明にも透明にもでき、厚塗り・グレーズ・マット/グロス表現など幅が広く、キャンバスだけでなく紙、木、布、壁面など多様な支持体に対応しやすいのも強みです。こうした性質から、20世紀後半の現代美術で重要な画材となり、ポップアートや大画面の絵画表現でも頻繁に用いられました。ウォーホルを含む当時の作家たちは、アクリルの速乾性や工業的な質感、鮮やかな発色を活かし、版画や写真表現と親和性の高い表現を展開していき、アクリル絵具は次第に現代絵画のスタンダードの一つとして定着していきました。

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