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パレットの起源

古くは小さな板や貝殻・小皿を絵具皿として用いていましたが、親指を通す穴を設けた「片手持ちパレット」は、17世紀のレンブラントの自画像や、ベラスケスが自身を描き込んだ《ラス・メニーナス》などにもその使用がうかがえます。さらに、イーゼルにキャンバスを垂直に立てて制作するスタイルが一般化すると、画家は筆を置いて一歩引き、全体のバランスや明暗の大きな塊を頻繁に確認する必要が生まれました。こうした動線の中で、片手でパレットを持ち、もう片手で筆を操る手持ちパレットは、効率のよい道具として広まったと考えられます。 19世紀以降には、絵具の工業生産化や野外制作の普及に合わせて、携帯性や安定性に優れた人間工学的な形状へとさらに洗練され、現在のような形が標準となりました。

ベラスケス《ラス・メニーナス》の自画像部分
ディエゴ・ベラスケス《ラス・メニーナス》(部分)、プラド美術館、Wikimedia Commons(PD) 画面左側のベラスケス自身が、大きなパレットと筆を持って描かれています。これは17世紀、立って描く油彩画のスタイルにおいて手持ちパレットが普及していたことを示しています。
ベラスケス《ラス・メニーナス》全体像
ディエゴ・ベラスケス《ラス・メニーナス》(1656年)、プラド美術館、Wikimedia Commons(PD) 西洋美術史上最も重要な作品の一つ。画家がイーゼルに向かい、大きなパレットを手に持ちながら全体の構成を確認して描く様子が克明に記録されています。

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