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絵具のチューブ革命

19世紀半ばまで、画家たちは豚の膀胱(ぼうこう)などに絵具を保存しており、持ち運びや取り扱いには多大な不便が伴っていました。日本でも、明治初期に輸入された油絵具が普及する以前は、同様の保存法が用いられていた可能性が指摘されています。しかし、1841年にアメリカの画家ジョン・G・ランドが、蓋つきの錫(すず)製チューブを発明したことで、絵画制作の環境は大きく変化することとなります。 このチューブ絵具によって携帯性が飛躍的に向上したことで、モネやルノワールといった画家たちは、アトリエに籠もらず屋外の自然光の下で風景を描く「戸外制作(プレネール)」をより自由に行えるようになりました。ルノワールが後に「チューブ入りの絵具がなければ、印象派は存在しなかっただろう」という趣旨の言葉を遺したと伝えられているように、この技術革新は美術史の潮流を変える極めて重要な契機であったと考えられています。

錫製チューブが発明される前の時代の画材(シャルダン画)
ジャン=バティスト=シメオン・シャルダン《Attributes of the Painter(画家のアトリビュート)》(1725~27年頃)、Princeton University Art Museum、Wikimedia Commons(PD) 錫製チューブが発明される前の時代の画材。かつて画家は絵具を豚の膀胱などで保存していました。

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